新政府は戸籍を復活させて「家」単位ではなく「戸」単位の国民把握体制を確立し、「家」共同体は封建的体制下の公的存在から国家体制とは関係のない私的共同体とされ、「家」を通さずに国家が個別個人支配を行うことが可能となった。このように戸籍制度の復活は封建的な主従関係、支配被支配関係から国民を解放するものであったが、完全に個人単位の国民登録制度ではないため、婚外子、非嫡出子問題などの「戸」に拘束された社会問題もまた存在する。そのため、現代ではより個人が開放された制度を目指して、戸籍制度を見直す議論も存在する。戸籍制度は東アジアで戸と呼ばれる中華文明圏で成立した家族集団の認定を基礎とする、他地域には存在しない特有のものである。近代以降、国民・住民の把握は国家により、個人単位あるいは家族集団単位で行われ、欧米でもアングロサクソン系国家では個人単位、大陸系国家では家族登録制度を採用する傾向がある。戸籍は家族集団単位に把握する制度の代表的なものであるが、国家に認定された家族集団が東アジア固有の戸の思想系譜を引くものでなければ、それは戸籍制度ではない。特にアメリカ合衆国、イギリス、オーストラリアでは国家による家族登録を行わない伝統を持ち、戸籍のような家族単位の国民登録制度は存在しない。社会保障番号(ScialSecurityNumber)制度はあるが、これは年金の加入・支給を管理するため、つまり日本における基礎年金番号に相当するもので、戸籍のようなものは存在せず、結婚などの登録も役所の住民登録で済まされる。多くの州では居住地でなくとも婚姻届を受理する。中華人民共和国では戸籍を「戸口」といい、全ての人民は機関・団体・学校・企業など、「単位」と呼ばれる組織のいずれかに属するようになっている。「単位」の所在地により、俗に城市戸口(都市戸籍)と農村戸口(農村戸籍)とに表現が区分される。改革開放以前、住居分配・初等中等教育・医療・食料配給などは基本的に単位ごとになされ、これらを享受できない本籍地以外の場所での生活は、事実上、不可能であった。改革開放以降、食料配給の廃止や外資企業の出現による単位への所属が流動化、インフラ設備の向上による流通の発展と第3次産業の発展、農村部経済の破綻と沿岸都市部での労働者需要の増大による「民工潮」(盲流現象)などから、本籍地以外でも社会的サービスを受けられるようになったが、依然として初等中等教育は基本的に不可能で、医療では医療費面で差別があり、信用度の問題で銀行からの融資を受けられないことや、福利厚生費を企業が負担しなければならないので就職が難しいなどの問題がある。戸口の移動は、他省への大学進学、大学卒業で国家機関や団体、大企業などへの就職による移動が基本で、最近では多額納税者や、小都市では住宅購入で戸籍の移動を認める地方政府もある。
以前でも銭を払うことで、農村から城市への戸口の移動が可能であった。戸口を記した「戸口簿」は中華人民共和国公安部(中国の警察)が管理している。中国では戸口簿のほかに、全人民ひとりひとりに「人事案」がある。これは、人事档案には先祖の階級をもとにした「本人成分」から始まり、家族構成・学校成績・党歴・就職・結婚・言動・旅行歴・交友関係・犯罪歴など、生まれた時から現在までの個人情報の全てが書き込まれている。人事档案は単位の共産党人事部、もしくは地方共産党支部の人事局や労働局が厳重に管理しており、もちろん非公開で、本人はその内容を生涯知ることはできない。ただし、現在、移動と不届けから、全てを把握しきれていない状態が増加していることも確かである。朝鮮半島国家は古代の律令制導入以来戸籍制度を維持してきた。朝鮮時代は良民と賤民とに身分が分かれており、良民には士大夫(両班)の特権階級と郷吏(中人)・常漢・庶人・良人(常民)の平民階級があり、賤民には奴婢と白丁があった。戸籍にその戸の身分が記載され、平民階級には役などが課された。日本統治時代に身分の記載は削除された。現在の大韓民国においても戸籍は継承されており、徴兵制の運用もあって管理が厳しい。2008年に戸籍が廃止され個人単位の登録となることが決まった。朝鮮民主主義人民共和国には戸籍に相当するものはなく、居住地の党組織にて日本でいう住民登録が行われ管理されている。また、「公民登録法」により17歳以上の朝鮮公民(朝鮮民主主義人民共和国籍を持ち北朝鮮に居住する者)には公民証(平壌市民にあっては1997年以後「平壌市民証」に切替)が発給され、本人確認が行われる。台湾では日本統治時代に日本の戸籍制度に改変された。現在の中華民国支配下でもID制度と平行して存在しているが、一般的にはIDの方が多用される。中国国民党が独裁していた時代には、軍政時代の韓国同様、戸籍は警察が管理していた。大化の改新(645年)によって朝廷の支配体制が強化され、各地の豪族が作った戸籍に代わって全国的な「庚午年籍(こうごねんじゃく)」という戸籍が作られ、6年ごとに更新された。豊臣秀吉による太閤検地が行なわれた。幕府や寺社の作成した人別帳や宗門帳や過去帳が人民の登録簿であった。これらは現代でも家系図作成などの際に参考にされることが多い。文政8年(1825年)に長州藩で戸籍法施行。近代戸籍法の原点とも言われている。長州藩のものを参考に京都府において戸籍仕法が行われる。民部官に庶務司戸籍地図掛(国土地理院の前身の一つ)を創設。戸籍地図掛が民部省地理司へと拡充民部省が廃止され、大蔵省租税寮へ管轄が移る「戸籍法」明治4年4月4日大政官布告第170号・明治5年2月1日施行前年制定の戸籍法に基づいて、日本で初めての本格的な戸籍制度が開始された。この年の干支が壬申(みずのえさる)であることから、この制度によってできた戸籍を壬申戸籍(じんしんこせき)と呼ぶ。
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